Mycelium Music 【TAPE】- Matthewdavid

アメリカ / LAのビート・シーンで頭角を現したマシュー・デイヴィッドは無視されがちで軽視されていた、ニューエイジのカセットテープを収集していた。そのアーカイブに数年間没頭し、新たな時代を切り拓くとともに、全く新しいニューエイジ・サウンドを生み出している。今作はデジタルサウンドを駆使し、有機的な菌糸体について捉えた。菌糸体という集合体は地球という大地においてコミュニケートし、共存する。

菌糸体はどのように歌うのだろうか？マシュー・デイヴィッドは印象的な記録としてその一連を「歌」で応えた。音で表現された”Mycelium Music”は美しいテクスチャーである。一聴して印象的なのは、本当に有機体なのか？という疑問から簡単に区別することはできないし、終わりのない即興と偶然、相互依存の意味、そして真剣にその事柄を真剣に思索した産物であるということだ。

家庭を築き、親族を失い、老いという体現に苦しみ、レコード・レーベルを立ち上げ、ミュージシャンとしてアーティストとしても活動しながらLeaving recordsのコミュニティを開拓してきたマシュー・デイヴィッドの”Mycelium Music”はエゴを排した謙虚な作品に仕上がっている。注意深く耳を傾けることを前提とした音楽。シモーヌ・ワイルの言葉を借りれば、注意は祈りの一種である